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●ジジェクって、クリエイティブな思考の人なんだね。

先日、友人の勧めでスラヴォイ・ジジェク自らが出演する映画「The Pervert's Guide To Cinema」を見たのだが(直訳すると「変態の映画ガイド」または「性的倒錯者の映画ガイド」、かな?)、これが案外面白かった。
(この作品、日本公開はされていないようだが、DVDに多言語字幕機能がついており、硬い訳だったけど日本語字幕がちゃんと出た。)
zizek

実のところ、僕は精神分析に全く興味が無い。
いやより正確に言うと、”臨床には不要・無用いや有害”と考えるくらい、正直大嫌いなのだが、(まあそこまで嫌わなくてもいいだろう、と僕の中の別人格が発言するくらい、ちょっと極端かも)ジジェクと言えば、なんたってラカン派分析学の世界的論客だから、どこか警戒していたとも言える。

ところが、見てみて思ったのは、
この人の語り口の面白さだった。
目付きも変だし、英語も(発音が)変だし、グワーッと話に集中していく時の狂信的な目付きが怖いのだけれども、言ってることは半分冗談だったりするんだよね。(時に全部冗談?)

「花は生殖器だから気持ち悪い。子供を近づけない方がいい」とか、
「フロイトの精神分析は何でも性に結びつけようとすると言われるが、それは誤解で、むしろフロイトが言いたかったことは、実際のセックスの最中にまるで性的な気分でなくなること――なんて下らない往復運動をしてるんだ、俺は?――そっちの方だ」とか。

おいおいホンとかよ。とも思うんだが、彼がやろうとしていることは、フロイトにせよラカンにせよ、精神分析と言われる体系が別に自明の理論だと決め付けているわけではなく、そういった過去の体系を応用していかに独自のモノの見方を発明するか、みたいなところにあるような気がする。

それだったら、僕の立場にもしかして近いかもしれない。
僕は、精神分析はコカイン中毒のおじさんが適当にひねり出した無意味で不整合でただただでっかい妄想の体系みたいなものだと、実は思っているのだ。
まるで信用ならないけれど、もちろん、なにかの解釈に使える部分が無いとまでは思わない。
でも、解釈の道具なんて、日めくりカレンダーの隅に書いてある「一日一善」とかの標語と代わりない。
臨床において害になるのは、治療者がこの体系を信じきってしまっている時に起こる。
理屈に人をあてはめてしまうからだ。
(ちなみに、治療を受ける人がこれを信じているのは、それぞれの勝手である。血液型正確診断を信じている患者さんみたいなもので、話題をはずませる糸口だと思っていればよい。)

ちょいと話が脱線した。

で、ジジェクなのだが、デモクラシー・ナウに出演して、前後編でたっぷり50分以上熱弁をふるっている。
http://democracynow.jp/submov/20080311-3
場所が場所だけに、映画の話でもセックスの話でもなく、司会のエイミー・グッドマンに促されて彼が喋るのは、世界情勢についてだ。
すごい数の著作を出している人だけあって、歴史の知識も相当なもののようで、次から次から立て板に水、といった感じで喋り続ける。
この後半が特に、僕には面白かった。

資本主義がどうなるのか、いずれどういう形にせよ(たとえば環境問題が最悪のシナリオに進むなど)資本主義が自滅していくことは、ジジェクもある意味予測しているけれど、問題はその後だと言う。
彼によると、最悪、世界は中央主権的な資本主義の形に戻らざるを得ないかも知れない、と。
それが今日、中国が資本主義的に成功したことの歴史的意味だ、とも言っている。(中国は、民主主義と資本主義を分離して、資本主義の方はみごとに花開かせたわけだ)

他にもいろんなことを言っていて、僕が噛み砕けないものもいっぱいあるが、要は彼は、「自明だと思うな」と言っているような気がする。だから、左翼が行き詰っていること(そしてそれに充分気づいていないこと)への批判は手厳しい――自ら、自分は古い左翼的な人間だが、と言いながら。

スターリンがなんであんなひどい失敗をしたのか、左翼はもっと分析すべきだ、とか、それをファシズムとか持ち出して簡単に説明して済ませるのじゃ駄目だ、とか。
よく話を聞けば、とてもマトモなことを言ってるじゃないか。

思考の停止は、「それは自明だ」と思うところから来るよな、たしかに。
左翼って、自分が正しいと思うところに自足しがちなところ、たしかにあるかもな。
反戦運動したって、戦争が止まらないとしたら、(反戦運動が駄目だというわけではないが)
では何をどうしたら有効なことができるのか、という問いは持ち続けないと、意味ないよな。
でもそういう考えをずっと抱き続け問い続ける、というのが一番難しいのだけれど。

いや~、自分の枠の狭さを反省しました。
ジジェクはクリエイティブだと思った。
精神分析についても、ひとつの枠組みと彼は考えてるんではないかな、たぶん。
分析嫌いの精神科医として、少しはジジェクをちゃんと読まなきゃなと思った(けど読むかどうかはまた別です)。

興味ある人は、上のリンクから日本版デモクラシー・ナウに飛べば、日本語字幕付きでジジェクの話が聞けますから、お勧めしますよ。
映画を見せてくれたリチャに、ありがとうという気分だ。



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コメント


ジジェク

その映画見たいです。リチャさんのなのですか?? 今年の3月ごろ、ジジェクの「ラカンはこう読め」を読んだのですが、脳みそがちっちゃい(てか頭悪い)ので内容を忘れてしまった。映画がいっぱい出てきたのですが。その映画と本と内容は重なっているのかなあ。植物=生殖器!! だからキリスト教のアイコンでは百合は蕊を抜いてあったんだよねー。後半でご紹介の映像もあとで見てみようっと。

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